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フォト・ルポ 上海 近未来ビルの直下で物乞いして生きる人々 『読売ウィークリー』2006年4月30日

――5人ほどの物乞いが、地下鉄の駅から地上に上がってきた。その中の一人、左足が不自由で背中が大きくもり上がった中年の男に話しかけた。豊かな髭と彫りの深い顔が印象的だ。/足と背中は、幼いころに病気でそうなった。物乞いをして1日に稼げるのは7~8元だが、それでも現金が手に入り、物がなんでもある上海での生活は、江蘇省の農村での日々よりはマシだという。ただ、寂しい。/「自分のような人間と交流してくれる人なんているわけない」/そう言って苦笑した。いつか路上で小物を売るのを仕事にしたいという彼は、笑顔が多く、何を聞いても丁寧に答えてくれたが、名前だけは決して口にしようとはしなかった。
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