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カウチサーフィンが開く出会いの扉カウチサーフィンが開く出会いの扉 『考える人』2015年春号(コラム「考える春」)

イスタンブールで泊めてくれたセルジャンという男性は、毎日複数の旅人を泊めながら、高価なものなどもすべてそのまま家の中に置いていた。その様子に思わず、大丈夫なのかと尋ねると、彼はこんなことを言った。/「多少モノがなくなることは確かにある。でも、それは稀だよ。もしそういうわずかな盗難も防ごうとしたら、鍵を閉めて誰も泊めないという方法を選ぶしかなくなる。しかしそうやって警戒ばかりしていたら、素晴らしい出会いをも失うことになるだろう? 一%のリスクを防ぐために九九%のいい出会いをあきらめるなんてもったいないじゃないか」/私はいまの日本社会の、時に極端なほどあらゆるリスクを警戒し排除しようとする風潮に違和感を覚える。もちろん深刻なものには十分に気をつける必要がある。ただ、多少のリスクについてはある程度寛容になり、人と人が、まずは信頼し合おうと思える社会の方がきっと誰にとっても心地よいのではないだろうか。そして互いに心を開き合うことは、結果として重大なリスクを減らすことにもつながるように私は思う。
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